休むと同僚の負担が大きくなることと、自身の責任感ゆえに、医療従事者はウイルス感染陽性で症状があっても休めない実態がある。
インフルエンザに感染して症状があっても、医療従事者の14~68%は勤務していることが、以前の調査で判明している。
新型コロナにおいては、陽性で症状があっても休まずに患者のケアをしている医療従事者が49.8%もいる。
米国では今年5月から、医療機関における医療従事者達のマスク着用は、個人の判断に委ねられた。
医療従事者であってもマスク着用を拒否できる人権と、それに対し、感染に脆弱な患者達が安心と安全を守られるべき人権とがあり、医療機関の在り方をめぐって、双方がぶつかり合っているのが米国の現状。
エイズが蔓延する前までは、病院や歯科医院などでゴム手袋をするのは、手術など以外は、標準ではなかった。しかし、エイズが事態を一変させ、医療従事者はゴム手袋をするのが標準になった。
コロナが蔓延する前までは、マスク着用は手術など以外は標準ではなかった。しかし、コロナが事態を一変させた。医療従事者はマスク着用が標準、そうなるべきだと主張する専門家達が少なくない。
今春の、全米看護師連合の切実なアッピールも、そうした深刻な事態を意味している。
本年5月から、医療従事者のマスク着用が任意になって良いのか、と言う。
医療従事者のマスク着用が任意になっては、弱い立場の患者が安心して医者に行けないし、きちんとマスクをして下さいと医師達に言いにくい。
そして医療従事者自身にとっても職場が安全な場にならず、退職する人達がますます増える、と彼等は懸念する。
マスクやワクチンに関する新たな基準、標準を設定する必要が医療従事者にとってあり、それは患者や家族の安全にも直結すると言う。
日本の場合は、先ず自主的にマスクをする習慣が一般的なので、あまり強制しなくても済んでいる。しかし米国の場合は、マスク着用を義務化、制度化しないと守られないほど、医療機関であっても安全より自由が優先されて、なかなか難しい事情になっている。
日本もアメリカのように自由と権利を主張するあまり、義務と配慮が軽視、蔑視される世の中に、急速になりつつあるのではないだろうか?
今春読んだ記事です。
Study notes high rate of COVID-infected healthcare workers still caring for patients | CIDRAP