メイの記録 Ⅱ

情報戦サバイバル

ウクライナ支援こそ米国第一主義 - WSJ

トランプ氏は、大統領に再選されたら、即座にウクライナへの支援を打ちきり、NATO北大西洋条約機構)から脱退すると表明している。
                                                                    
前回も、大統領に就任したら即座にTPP(環太平洋経済連携協定)から離脱すると宣言し、就任するや、TPPから「永久に離脱する」とした大統領令に署名した。
それこそが、米国第一主義だと。

 

こうしたトランプ氏とは真逆に、ウクライナ支援こそが米国第一主義だと主張するのが、ホワイトハウスで顧問などの重職に就いていたカール・クリスチャン・ローヴ氏。

Put America First by Aiding Ukraine ウクライナ支援こそ米国第一主義だとする彼の論点は、次の通り。

 

ロシア帝国の再現を目指すプーチンの野望を阻止することは、米国にとって、道徳的にも、戦略的にも、経済的にも重要だ。

 

・米国と敵対する大国ロシアに対するウクライナの勇敢な抵抗は、世界における米国の戦略的立場を劇的に改善させた。

 

・ロシアの力がはるかに弱まった一方、NATOの力は冷戦以降のどの時期よりもはるかに強まり、その結束力もずっと強くなった。NATOにはわれわれが最も信頼している同盟国の多くが含まれる。しかし、ロシアが戦争で勝利すれば、そうした進展は失われることになる。

 

プーチンの勝利は、世界の舞台で極めてタチの悪い人物らをつけあがらせることにもなる。北朝鮮金正恩総書記やイランの宗教指導者ら、中国の習近平国家主席などだ。

 

NATOの事務総長は「中国は状況を注意深く見守って、教訓を得ている。それは同国の将来の判断に影響を及ぼす可能性がある。つまり、今日欧州で起こっていることが、明日アジアで起こる可能性があるのだ」と主張する。

 

プーチンは、欧州での血塗られた冒険主義の対象が、何もウクライナだけではないことを明確にしていた。リトアニアモルドバベラルーシ、およびポーランドスロバキアの一部も、かつてロシアの不可分の領土だったと指摘し、さらに多くの領土を奪う意向を示している。

標的とする諸国の中にはNATO加盟国も幾つか含まれており、これらの国が攻撃された場合、米国は条約の規定により自国の軍隊を投入して支援することを約束している。新孤立主義者はウクライナ向けの武器、支援が米国にもたらす費用負担を懸念するが、支援をやめれば、いずれ米国人の生命が危険に曝されることになる。

 

・危機に曝されているのは、米国の戦略的利益だけではない。攻撃的かつ敵対的で息を吹き返したロシアに欧州が脅かされることは、我々の経済的利益にも叶わない。欧州連合EU)は2022年に3,490億ドル(約45兆6700億円)の米国製品を購入した。米EU間の貿易・投資規模は世界最大である。プーチンウクライナを征服し、欧州諸国に忠誠を要求すれば、その結果として欧州による米輸出品の購入は減少するだろう。

プーチンウクライナを征服した場合、欧州が米ルイジアナ州から液化天然ガスLNG)を大量に輸入しなくなるのは間違いない。欧州大陸は、東方の歯止めの利かない独裁政権からエネルギーを購入することになるだろう。さらに欧州は、コンピューターから農業機械、消費財、法人向けサービスに至るあらゆる物について米国からの輸入を見直すことになる。中国とロシアが「無制限」のパートナーシップを利用して、米国からではなく中露両国から購入するよう、欧州に圧力をかけると見られる。これらは全て、米国の雇用と経済成長の足を引っ張ることになる。

 

プーチンウクライナで勝利を収めれば、米国の決意に対する疑念がアジアで高まることにもなる。米国のアジア同盟諸国は、おそらく貿易・投資面で中国との協力関係を強め、米国の利益を損なうだろう。そして中国が台湾を侵略した場合には、2022年に437億ドルに上った米国産品の台湾向け輸出、そして918億ドルに上った米国による台湾産品(その大半は半導体と電子部品)の輸入に別れを告げることになる。2020年に新型コロナウイルスが世界的に大流行した際に、半導体供給が滞ったことを覚えているだろうか。台湾有事の際は、はるかにひどい状況になるだろう。

 

ウクライナへの軍事的支援はそもそも米国経済を潤している。ウクライナに供与する兵器、弾薬、ミサイル、軍装備品を製造するため、主として米政府が米国の労働者に支払っている。

 

ウクライナ人の勇気と犠牲を目にしながら米国がウクライナを見捨てれば、それは戦略面、経済面、道徳面で壊滅的状況をもたらし、国際舞台における米国の影響力を低下させ、米経済にも打撃を与える。

 

ウクライナ支援は、米国の利益を最優先することでもある。

 

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日本国内にも、ウクライナを支援するような金が政府にあれば、それを日本自身のために使い、軍備を増強するなどすれば、それこそが国益だといったことを主張する反ワクチン派のような人達(全部とは言わない)がいる。


日本がウクライナを見捨てたなら、日本がウクライナと同じ状況になった時、日本は世界から見捨てられることになる。

それこそが、まさに中露と北の思う壺。

 

以下、3月に読んだウォール・ストリート・ジャーナルの記事です。

もう半年近く経ていますが、非常に重要な内容なので、その要旨をご紹介しました。

 

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