メイの記録 Ⅱ

情報戦サバイバル

国防上重要な新型コロナワクチン

防大臣(一番左)と保健大臣(左から2人目)が見守る中、イランで最も著名な核科学者モフセン・ファクリザデ氏(反体制派とイスラエルによって暗殺された)の息子が国産コロナウイルスワクチンの接種を受ける。亡父の栄誉と犠牲により、息子は優先的に接種を受けられた。ちなみに現在、皮下注射でなく筋肉注射の場合、腕は体の横にダラリと下げ、回内も回外もしない状態で受ける、というのが日本では定説になっている。神経を避ける上で。

自国製コロナワクチンの初回接種を受ける最高指導者ハメネイ
2021年7月

 

イラン製ワクチンによる人体治験の第2段階と第3段階が開始された際、ワクチンを誇らしげに提示するテヘランの医療従事者。

 

イランにおけるPCR 検査

covid19.trackvaccines.org


そこには、イランで使用を承認された12種類の新型コロナワクチンが列挙されています。
その内訳は、イラン製5種類、ロシア製2種類、中国製、キューバ製、インド製が各1種類、英国のアストラゼネカ、米国のジョンソン&ジョンソンとなっています。

更に興味深いのは、自国製のコロナワクチンメーカーの数と内容です。

それによると、

医科大学
・ワクチン血清研究所
・株式会社が2社
防衛革新研究機構 
  Organization of Defensive Innovation and Research FAKHRAVAC (MIVAC)

つまり、軍関係の機関が新型コロナワクチンを開発、製造しており、コロナワクチンは国防上不可欠であるとイランが認識していることです。

言い換えれば、新型コロナウイルスは外来の敵であり、国家と国民に深刻な被害を与える危機的な存在だと認識していることになります。

 

台湾人の林 建良医師が、新型コロナウイルスは攻撃兵器、そのワクチンは防御兵器、と言うのと同じ認識であることを示唆しています。

 

しかし日本では、自衛隊に猛反対するように、防御手段、防御態勢を軽視し、躍起になって否定する活動が続いています。


イランの防衛革新研究機構等が新型コロナワクチンを熱心に製造していることは、次のことを示唆しています。

 

・新型コロナの脅威は、風邪やインフルエンザと同一レベルで論じられない

・国防レベルの、官民一体、国家を挙げての協力と感染対策が重要

・諸国との連携による、国際レベルでの防御態勢が必要

・ワクチンが完璧でなくても、防御手段は軽視できない

・1種類のワクチンでは追いつかないほど、容易な問題ではない


イランで承認された新型コロナワクチン12種類のうち7種類は、使用承認後も臨床試験中であり、他に新たな国産1種類も含めて、8種類が臨床試験中になっています。

軍の関係機関で開発・製造したワクチンも、使用承認後、引き続き臨床試験中です。

それくらい、導入に緊急性を要する事態が存在するということです。


当初、最高指導者ハメネイ師は、英国と米国で製造されたワクチンを「信頼できない」として、導入を禁止しました。
しかし、その後に就任したエブラヒム・ライシ大統領は、感染情況の悪化を無視できず、パンデミックとの闘いを優先すると国民に約束しました。

感染の第5波に直面する中、イラン当局は米国ジョンソン&ジョンソンのコロナワクチンを承認しました。強硬なハメネイ師発言の8ヶ月後です。

 

国民の命を守るためには、政治的なメンツに拘っていられないということです。
その点、中国政府よりも現実的と言えるでしょう。

 

また、英国が開発し、ロシアと韓国の合弁会社が製造したオックスフォード/アストラゼネカのワクチンもイランは承認しました。

中国が全力を挙げて開発中のmRNAタイプの新型コロナワクチンが実現したなら、イランは自国での使用を承認するのでしょう。


もともと、ペルシャ文明を築き上げた国であり、異国文化が交流する要所で繁栄した、国際色豊かな地域でした。

アッラーの神を信じてきた国が、あろうことか無神論唯物論ソ連と組んでイラン革命を起こし、政治的な強権国家を作り上げてしまった。そのことに一番複雑な心境なのは、イラン国民自身でしょう。

 

上記リンク先のリストを見ると、欧米のmRNAワクチンを導入しないと、いかに多種類のワクチンが必要になるか、その真摯で切実な模索が伝わってきます。

世界的にも、これさえ打てば対処できる、というものではないということでしょう。

ウイルス変異が早いだけに。